
時系列は昨年の10月にさかのぼります。僕は 富士スピードウェイ P2駐車場にて開催されたKW販売ディーラー向け試乗会に訪れていました。
ドイツ製のKW(カーヴェー)サスペンション。存在はずっと前から知っていて、KWの営業さんがGarageHRSにも通ってもらっていたのですが、なんせ価格設定が自分の金銭感覚だと引いてしまうくらい高い。よいものだろうけれど、HRSのお客さんで誰が買うことできるのだろうかと敬遠していました
一般的な車高調とくらべ 高価すぎて自分的にはなじみがないと 勝手な先入観で遠ざけてしまっていたのです
出会い ~ KW meets GarageHRS ~
それがある時、販売用に仕入れたクルマに偶然 KWサスペンションが装着されていて、試走したら しなやかで快適なのに、しっかりダンピングも効いていて、操縦安定性 抜群。なんだろう、この脚まわりっ!っと正直びっくり。遅ればせながら KWサスペンションに俄然興味がわいて、改めてKWジャパンさんにコンタクト
タイミングよく FSWで開催されたKWディーラー向けの試乗会に誘ってもらい、BMW、GR86、ハイエースでKW&STの各種モデルの性能を堪能
さて、なんと言えばよいのでしょう? これまでの経験から 国内でも名の通っている オーリンズやビルシュタイン、アラゴスタ そしてHKSやTEINなどなど 著名ブランドの上位モデルが頂点 そう思っていました
GarageHRS黎明期から、高性能サスペンション オーリンズに惚れ込み、小さな所帯だったのに、なんとまだ世になかった全長調整式オーリンズをオリジナル設定。HRSデモカーで数々のタイムアタックに挑戦を繰り返し 磨きぬいたオーリンズHRSバージョン。皆様からランエボ用の足回りとして最適・最良の足回りと評価されましたし、手前みそだけど自分自身にもその自負がありました。 しかし、KWサスペンションはそれをさらに良くしたフィーリングで、いままでの自分の経験と常識を凌駕するものでした
一般的な車高調では、タイムを出すために減衰を上げていくと突き上げの強い足になりますよね? なのでレーストラックとロードユースでそれぞれ減衰設定を変更して使うのがふつう。快適性を求めて柔らかな減衰にすると乗り心地はいいけれど荒れた路面では腰砕けで不安定になったり、サーキット用に減衰を締め上げるとタイムは出るけれど、ガチガチに突き上げがつよくなる。数ある車高調キットそれぞれ 減衰特性の良し悪しで差はあれど、その傾向はついてまわる。それが僕の認識です
もちろんKWでもその傾向はあるのだけど、その特性のバランスが段違いによいと言えばいいのだろうか?
KWの特性は「衝撃の角が取れたような乗り心地」と表現されるそうですが、サーキット用モデルでも快適性は維持されているし、乗り心地重視のコンフォートモデルでも一定のスポーツ性能を両立している。足回りがストロークする初期からしっかりダンピングが効いて、スムーズにサスペンションが働き、急激な入力でもマイルドに衝撃を吸収するこの性能はいったい?
僕の語彙力ではうまく表現できずもどかしいのだけど、足回りの性能がタイヤの潜在能力を引き出してくれる? KWサスペンションだと ふつうの街乗りタイヤでも、ハイグリップタイヤに交換したように路面に吸いつくように走れるし、コーナリング途中の路面ギャップがあってもしなやかに衝撃を吸収して安定して駆け抜ける。そんなまるで魔法のような足回りなのです
KW車高調 | KW JAPAN WEBサイトは -> https://www.kwsuspensions.jp/
KWサスペンションのテクノロジー
自分の常識を覆すその性能の秘密はなんだろう? KWジャパンの天野さんと話したところ、KWサスペンションにとって、バルブは核となるパーツ。KW独自の哲学を実現するために生み出された バルブ構造がポイント。他社にはない特許構造のバルブによって、魔法のような足回り そう僕が感じる特性を実現しているそうです。
KWの中核モデルである V3の場合、高精度かつ独自のバルブ構造により、伸縮独立の調整機構を持ち、高い運動性能としっとりしなやかな乗り心地を両立しているとのこと。
一般的な車高調では伸縮連動調整の減衰機構を、KWでは伸び側(リバンプ)と縮み側(バンプ)で独立して個別に調整、さらに低速・高速毎のピストンスピードによる減衰設定をきめ細かく設定。伸縮減衰双方のバランスとともに、伸縮独立制御で 主に操縦安定性に寄与する縮み側減衰、主に乗り心地に寄与する伸び側減衰 KW独自の制御を反映させて世界最高峰のサスペンションと評される性能を実現している。
技術と特性の深いところまで口頭で聞いただけなので、僕の理解に勘違いがあるかもしれませんが、天野さんの説明を僕自身はそんなふうに受け止めました。
TVR-A(ツインバルブリバウンド-アジャスタブル)
TVC-A(ツインバルブコンプレッション-アジャスタブル)
バルブのこと以外にも、高性能サスペンションと言えば 全長調整式&単筒式ダンパーが主流の昨今なのに、オーソドックスなねじ式車高調整式&複筒式ダンパーを使っている考え方、素材やスプリングレートの選定、そして KW(V1、V2、V3、V4、V5)や姉妹ブランドのST(X、XA、XTA、XTA puls3) 様々なラインアップなどなどすべてに 深いKW独自の哲学が息づいているようですが、この辺はまた別な機会に紹介させて頂こうと思います
KWサスペンションのことをよく知らない時は、高価すぎて手が出せないと勝手に敬遠してしまっていましたが、その性能と奥深さを知れば知るほど、確かに高価だけどその価値がある。車高調をいくつも買い替えるなら、最初からKWやSTにしておけば間違いないなんて考えるようになりました。KW&STサスペンションをお客様に紹介するようになったら、共感してもらって高価なのにご用命が続いています。そして装着されたすべての皆さんから、操縦安定性や快適性が素晴らしい、選んでよかったと言って頂いています
とは言っても、人それぞれ考え方や予算があるのも理解しています。10数万円のお手軽モデルから、20万円前後のミドルクラス、そしてKWやオーリンズなどのハイエンドモデルまで、多彩な選択肢を用意しています。創業時からサスペンションスペシャリストの道を歩んできたGarageHRS、オーナー様ひとりひとりのご要望にあった提案を心がけています。お気軽に相談してくださいね