シルビア 240RS

僕が社会人になって吸排気製品の設計部に配属されて間もない、まだペーペーだった頃の話。

ゴヴァッ ゴヴァッ、普通とは明らかに異なる吸気音といかついボディをした真っ白なクルマが一台 会社の実験部隊にありました。

それは日産のグループB モンスターマシン、シルビア240RS。WRCマシンとして、ごく少ない台数が作られ日本国内では販売されてないモデル。とあるラリーチームの元で国内登録されることになり、触媒開発のために入庫していたのでした。

わあっ、憧れの240RS! まだ新入社員だった自分はすこし離れたところから、その勇姿を眺めるしかなかったのですが、大きく開口されたフロントグリルと、幅広のいかついオーバーフェンダー!

一般人には出会うチャンスもない、貴重な一台との遭遇にワクワク、はやく一人前になってあんなスーパーマシンのマフラーをこの手で設計したいっ! 胸を熱くしたものでした。

当時の自分はただのクルマ好きでしかなく、将来 自分でチューニングショップを運営するなんて夢にも思わなかったのですが、思い返してみるとこのシルビア240RSとの出会いが、現在のHRSにつながる原点になったような気がします。

日産240RSとは、どんな車?

1980年代の世界ラリー選手権(WRC)「グループB」に参戦するために開発されたホモロゲーションモデル(競技用車両の認定を受けるための市販車)です。当時の3代目シルビア(S110型)をベースに、約200台が限定生産されました。

【主な特徴】
エンジン: ラリー専用に開発されたFJ24型(2.4L 直列4気筒DOHC)を搭載。当時、日産の主力だったFJ20型をボアアップし、キャブレター(ソレックス50Φ)を2基装着しています。
駆動方式: 現代のラリーカーとは異なり、後輪駆動(FR)を採用しています。
軽量化: ボンネット、トランク、フェンダーなどにFRP(繊維強化プラスチック)を採用し、窓の一部にポリカーボネートを使用するなど徹底して軽量化され、車重は約970kg〜1,020kgに抑えられています。
デザイン: 巨大なオーバーフェンダーや、空力と冷却を重視した武骨なボディラインが特徴です。

日産が放った限定200台のグループBホモロゲモデル

モータースポーツ各カテゴリーのレギュレーションに合わせて生産された競技“ベース”車両は数多く存在する。国産車で言えば、スカイラインGTS-RやスープラターボA、ランサーエボリューション、インプレッサWRX STI、さらにストーリア&ブーンX4などもそれに該当する。いずれもナンバー取得が可能な、いわゆる市販モデルだが、その点において240RSは極めて異質だった。

なぜなら、日産は当初から日本国内での販売を想定しておらず(実際には数台のみ競技ユーザーの手元に渡ったが)、当時の日本の排ガス規制とは無縁の設計がなされていたから。

つまり、国内でのナンバー取得が不可能だった240RSは、ホモロゲーションをクリアするための競技“ベース”車両ではなく、純然たる“競技車両”として誕生した生い立ちを持っているのだ。

そもそも240RSは、グループB規定に合わせて1983年に登場。サファリラリー制覇を目標に開発されたマシンは1986年までWRCを戦ったが、並み居る海外ワークス勢がターボ4WDマシンでパワー競争へと突入していく中で、ついに勝利を挙げることなく表舞台を去っていった。

MoterFan.jp:「限定200台、日産240RSという伝説に乗る!」 WRCグループB、熱き時代の残像。

※記事作成の一部にAIアシスタントを利用しています。