ランサーエボリューションVI トミーマキネンエディション(CP9A)のオーナー様から、ミッションの相談をいただきました。3速ギアが削れてしまい、加速するとガクガクする。ディーラーでは、インナー側のギアが部品として手に入らず、修理できないと言われたそうです。
このお車とは長いお付き合いで、2021年9月には、HRSのスペシャルメニュー「AYCキャンセルLSD」を施工しています。そのときのことを覚えていて、また声をかけてくださいました。
ストックのミッションをオーバーホールして載せ替える
CP9Aは、純正部品の廃番が少しずつ進んでいます。ミッションの中のギアも、壊れてから探すと手に入らないものが出てくる時期に来ています。ちょうどHRSにCP9Aのミッションのストックがあったので、これをオーバーホールして載せ替える方法を提案しました。返事には、こんな一言をいただいています。
やっぱり、救世主はHRS様ですね。ついでと言ってはなんですが、クラッチ交換も可能でしたら、お願いしたいです。
まずはストックのミッションを分解し、シンクロ、ベアリング、オイルシールなどを新品に交換してオーバーホールしました。お車を預かる前にミッションを仕上げておけば、入庫してからの日数を短くできます。途中経過は、写真を付けてオーナー様に報告しています。

お車を預かってチェックすると、オーナー様の申告どおり、3速に問題が出ていました。用意しておいたミッションに載せ替えています。
降ろしたミッションに残っていた原因
降ろしたミッションも、分解して点検しました。ギアの歯当たりは、ぱっと見では何の問題もなさそうです。それでも症状が出ていた以上、どこかに原因があるはずです。
ギアをばらしてみると、表側は問題なさそうでした。裏側も含めてじっくり観察していくと、拡大写真で指をさしている箇所に違和感があります。原因はこれでした。本来は一体になっている3速ギアのハブとスリーブの嵌合が摩耗してスリップし、3速に入れてもシャフトに動力が伝わらなくなってしまっていたのです。長くランエボを扱ってきていますが、初めて見る壊れ方でした。

クラッチ・オイルシール・エンジンマウント
ミッションを降ろしたついでに、クラッチとマウント類の状態をチェックしました。
クラッチは、以前にエボ9用の純正品へ交換されていて、73,000kmで交換してから現在139,000km。滑りや異音はありませんでした。外したクラッチディスクは、まだしばらく使える範囲でしたが、相応に減っていて、遠くない時期にもう一度交換が必要になる見込みでした。クラッチ交換は、ミッションを降ろす作業そのものに手間がかかります。近いうちにもう一度その作業をするより、今のうちに新品にしておくほうが、トータルの無駄が少なくなります。そう判断して、ディスクとカバーを新品に交換しました。フライホイールは状態を確認して再使用し、オイルシールは新品に交換しています。
エンジンマウントも年式なりにくたびれていて要交換。CP9Aのエンジンマウントは、純正品が生産終了になりそうな状況です。今回はHRSでキープしてた3か所を純正新品交換、残りの1か所は廃番のため、いったん今付いているマウントを再利用。社外の高性能ウレタンブッシュ(快適性も考慮したロードユース品)を海外から取り寄せて、後日交換します。
HRSでは、相談を受けた箇所に加えて、まわりの状態も見たうえで、適切な提案を考えるようにしています。必要な箇所には手を入れ、再利用できる箇所は無理に替えずに費用を抑える。今回のフライホイールがそうです。ミッションの相談の段階で、オーナー様からはこう言っていただいていました。
あと何年所有出来るかわかりませんが、気持ち良く乗る為、他のパーツも必要とあれば交換してください。
足まわりのガタは、左右そろえて交換
同時に足まわりも点検したところ、フロントのタイロッドエンドに左右ともガタが見つかりました。特に片側は大きめです。リヤのトーコントロールアームも、左右ともガタが出ていました。
オーナー様によると、タイロッドは2023年に片側だけ交換していたそうです。
タイロッドは片側のみの交換でした。工賃が高かったので1万キロしか持たなかったのがショックです。
ガタの大小はありましたが、ガタが出ていたため今回はタイロッド、リヤのトーコントロールアームとも、純正の新品で左右そろえて交換しました。
この際ですので、すぐに整備が必要(要交換)な箇所の作業をお願いいたします。日数は掛かっても今回まとめて進めてください。
部品を交換したあとは、4輪アライメントを測定して調整しました。部品を新しくしても、アライメントが合っていなければ、タイヤの片減りや直進性の悪さにつながります。テスト走行でも、ミッション・足まわりとも良好でした。
ダンパー・車高調まわりも走行なりにくたびれていて、一緒に手を入れることも提案しました。ただ、予算との兼ね合いもあり、相談のうえ今回は見送りとしています。
ひと段落と思ったら、ラフアイドル
これで作業もひと段落と思いきや、アイドリングが不安定になるラフアイドルが出ました。点火系をチェックすると、点火コイルの樹脂に割れが入っています。
外してみると、樹脂が溶けて大きく裂け、焦げた跡もありました。劣化がかなり進んでいて、危うく発火するところだった状態です。
ランエボの点火コイルは、長く使っているとリークして、写真のように黒い樹脂の部分が白っぽく変色したり、失火の症状が出たりします。年式の古いランエボに乗っている方には、定期的な確認をおすすめします。
交換には、純正より手ごろで高性能な、HRSおすすめのハイスパークイグニッションコイルを使いました。

交換を報告すると、オーナー様からこんな返事をいただいています。
点火コイルの劣化発見・交換はとても感謝です。
あわせて、マフラーの消音デバイスのガスケットも新品に交換しています。
仕上がりと、残っている1か所
作業がすべて終わったのは9月末でした。当初は8月上旬の完成を目標にお伝えしていましたが、そこから大きく延びてしまいました。長くお待たせしてしまい、申し訳ありませんでした。10月から乗る予定とうかがっていたので、なんとか間に合わせることができました。
残っているのは、エンジンマウントの1か所です。海外から取り寄せている部品が届いたら連絡し、もう一度お持ち込みいただければ、その日のうちに交換してお返しします。
CP9Aの整備・ミッションの相談はガレージHRSへ
ガレージHRS(横浜市都筑区・第三京浜 港北インターから5分)では、ランエボをはじめとするスポーツカーのミッション・クラッチ・足まわりの整備から、4輪アライメントの測定・調整まで、まとめて相談を受けています。部品が手に入りにくくなった年式のクルマも、まずは相談してください。
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